作業①
〇うつとCKD
・2000年にアメリカの退役軍人を対象にしたうつ病を合併した長期の透析患者における入院と死亡をみたものでは、入院日数の増加RR:1.31( 95%CI,1.04-1.66)と入院数の増加1.30( 95%信頼区間、1.11-1.52)が関連していたが、死亡や死亡か入院の複合では有意差なかったことが報告されている。(PMID: 16183419)また外来患者の縦断的研究でも透析患者のうつと死亡の相関はなかったことが報告されている。(PMID:10792629)2008年には少人数であるがコホート研究において死亡または入院のリスクがHR:2.07,95%信頼区間(1.10-3.90)と増加傾向の結果が出ている。いずれの研究においても血液透析をしている患者の約1/5~1/4程度(アメリカ)の患者がDSM-ⅣやICD-9でのうつと関連があるようである。2000年くらいでは死亡については因果関係がない報告があるが、下記のアブストラクト的には死亡や入院に関係があるようである。
CAST研究透析依存症のない慢性腎疾患患者におけるうつ病症状に対するセルトラリンの効果:CAST無作為臨床試験。
アメリカの3施設
P:ステージ3,4または5の非透析依存性CKDを有する201人
stage 3A:11%, そのほか:QIDS-C16スコア11点以上。プラセボを65%以上服薬。
stage 3B:36% (実際の服用は80%)DSM-Ⅳで双極性障害などを除外
stage 4:36%
stage 5:17%
E/C:プラセボ1週間投与後に、セルトラリン50mg/日スタート(最大200mg/日) / プラセボ
⇒副作用については56項目で評価
平均QIDS-C16セルトラリン群:14.1(2.4) vs プラセボ群:14.0(2.4)で差がなし。
O:12週後のうつ病症状症候群 - 臨床医評価(QIDS-C16)の点数と臨床的に重要な最小値の差による症状の
改善。
⇒睡眠、体重、精神運動の変化、抑うつ気分、減少した関心、疲労、罪悪感、集中力、自殺念慮の16項目のうち、9項目27点(最大値を使用するものがあるため)でうつの症状を評価点数が高いほど重症
追跡率 193/201=96% セルトラリン群97人 プラセボ96人
平均年齢(SD) 58.2歳(13.2) 27.3%女性
平均参加時間12週
結果:
セルトラリン群で-4.1、プラセボ群で-4.2であった(群間差0.1 [95%CI、-1.1~1.3]、P = .82)
⇒ちなみに寛解の割合は、セルトラリン群で15.5%、プラセボ群で14.6%(群間差、0.9%[95%CI、-9.2%〜11.0%]、P = 0.86)
副作用
吐き気や嘔吐はセルトラリン: 22.7% vsプラセ:10.4%(群間差12.3%[95%CI、1.9%〜22.6%]、P = .03)
下痢のセルトラリン:22.7% vs プラセ:13.4%(群間差、10.3%[95%CI、2.7%~17.9%]、P = .02)
PMID: 29101402